マルタの仮想通貨高速道

マルタのMiCA高速道：スピードと疑念の交響曲

一見、マルタはヨーロッパ仮想通貨規制の万能ツールのように見える。人口50万人の地中海諸島だが、主要取引所が集中する磁石となっている。しかし、2018～2023年の価格データだけを使ってボラティリティモデルを作成した経験を持つ筆者として、「速さ」が「信頼性」を保証するとは思えない。

ユクレジアン（Europa）は4日で事前承認。Crypto.comもその後数ヶ月以内に取得。ところが、その直後には米司法省との5000万ドル和解金が発表された。

「速い」本当に良いのか？

効率性を尊重する立場だが、ドライブスルーでマックチキンを注文するようなスピードでは、「何かおかしい」と感じざるを得ない。ポーランド最大取引所CEOであるプリジェメスワフ・クラル氏は「MiCAはマクドナルドでの食事ではない」と語った。彼はマルタではなくエストニアを選んだ理由は「速度より深さ」にあるのだ。

マルタ当局はリスクベースアプローチを主張するが、分散型ネットワークにおける国境跨ぐAML違反を追跡できる体制があるだろうか？エリプティック社のリアト・シェトレット氏が指摘した通り、「ライセンス発行ではなく、発行後の監視能力こそが課題だ」。

速さの裏にあるコスト

マルタはVFAフレームワークを『MiCA同等』と称しているが、厳密な基準や罰則にまで等しいとは言えないという批判がある。

昨年のビビットハッキング事件によりESMAやフランスAMFから国際的な審査要請が出た。匿名のEU CASP幹部からは「競争には恐れないが、最も緩い規制地帯が選ばれる『規制アーキェージ』には警戒している」という声も上がっている。

一方で投資市民権プログラム（ゴールデンパスポート）に関して欧州裁判所から違法判決が出た。資金洗浄リスクがあり、創設者本人もパスポート取得済みという事実がある。

陰謀論ではない。パターンこそ重要だ。

グローバルなジレンマ：三幕構成で見る現実

euclideanは確かに迅速だったし、一時はコンプライアンスしていた…でもそれ以降はどうだったか？ フランス当局はMiCA自体に反対したのではない。「緩い解釈」に反対したのだ。 EUは現在、ペアレビュー制度に基づきマルタ監督体制を監査中である。

これは陣営選びではなく、「システム思考」が必要だ。 誰もが規制基準を下げるスピード競争に参加すれば、信頼どころか「抜け穴」しか作らないだろう。

最後に：イノベーションには構造が必要——ただ速さではない

私は真の進歩とは、「誰が最初にライセンスを得たか」ではなく、「誰が長く信用を持続できるか」だと信じている。分散型システムを支えるのは合意とコードである以上、規制機関にも「便利さ」以上の要求をするべきだ。